【こだわりの食材さがし】高知土佐の「一本釣り漁のカツオ」の刺身・タタキ・本枯れ節が格別うまい理由

食材・料理の知識と知恵
Pankun のプロフィール
山口県出身、福岡育ち56歳
IT関連のサラリーマン。
Pankunは、チンパンジーパンクンと耳が似ている息子のあだ名。
趣味は料理をつくる、食べる、食材を知ること。食生活に関することなら何でも興味があり、食生活アドバイザーの資格を取り、食生活の知恵と情報を発信しています。

こんにちは! 食生活アドバイザー(R)Pankunです。

カツオ漁には「一本釣り」と大量に捕獲する巻き網漁があります。

高知土佐のカツオ漁は一本釣り。

なぜ、大量捕獲でない一本釣りをするのでしょう?

カツオの一本釣りと巻き網漁の違い

一本釣りと巻き網漁の違いは、かつおの状態、つまり品質。

一本釣りは、一匹づつ釣り上げるので効率が悪いのですが、カツオの身が傷まず良い状態で釣り上げるのが特徴。

一本釣りは、カツオの群れに鰯で撒き餌をして、そこに疑似餌の釣り針を投げ掛かったときに引き上げます。

針には「返し」がついていないので、釣り上げたカツオは、針を取ることなく水揚げされます。

一方、巻き網漁は、網の中でかつをが暴れ傷つきやすく、さらに、カツオ同士がぶつかり合い身が熱を帯び状態が悪くなります。

この漁の仕方の違いにより、料理に使われ方も変わります。

一本釣りで釣り上げたカツオは上質なので「たたき」や「刺身」

巻き網漁で捕獲したかつおは、鰹節やシーチキンに使われる。

旬のころ一本釣りの様子は、テレビでも見かけますが、簡単そうに見えて、とんでもなく高い技術。

若いうちから漁師の見習いを経て、かなり厳しい修行をして身に着ける技なんです。

なぜ高知はカツオ一本釣り漁が盛ん?

カツオは水温の高いところで生まれると春には太平洋の黒潮にのって北上し、秋には南下します。

高知は、黒潮にのってカツオが回遊するカツオ漁には最高の漁場。

高知以外では、静岡。千葉、宮城もカツオの回遊エリアなのでおいしいカツオが水揚げされます。

高知はカツオが有名なので、漁獲量は1位と思いきや、実は4位。

ただし、高知土佐は漁獲量よりも「一本釣り」のほうが重要なのです。

★カツオの消費量日本一

高知は、カツオの消費量日本一と言われています。

これは一本釣りのカツオが美味しいことにあります。

一本釣りのカツオは、上質なので刺身やタタキに使われますが、カツオのたたきの発祥は高知県

江戸時代に遡り、土佐藩主 山内一豊は、食中毒を懸念し、「刺身禁止令」を制定し魚は焼いて食べることを指導しました。

ところが、庶民は、カツオの刺身が食べたく、軽く火であぶる(一応、焼き魚)という調理方法によって、「カツオのたたき」が生まれたと言われています。

カツオは、「堅魚」と呼ばれるだけあり、実際カツオは焼くと堅くなるので、焼き魚には向いていません。

カツオのたたきは、高知の庶民の知恵から生まれた郷土料理ということなんですね。

カツオの旬

カツオの群れが訪れる旬は、1年に二回、春と秋。

3~5月・・・初鰹(サッパリし手身が締まっている)

9~11月・・戻り鰹(脂がのってやわらかい)

高知では、旬の時期に獲ったカツオをその日のうちち食べることができます。(日戻り鰹)

カツオの刺身

鰹の刺身は、「まぐろ」のように有名でもないのですが、食べると病みつきになる人も多いようです、

鰹の刺身はスーパーでも見かけることはありません。

一本釣りでその日に上がったものが刺身に使われるので、現地で食べるのがい一番です。

刺身が美味しいシーズは、秋の「戻り鰹」、脂がのって濃厚なうま味ともっちりした食感が特徴。

食べ方は「おろしにんにく」や「生姜」と醤油でいただきます。

カツオのわら焼き(タタキ)

とりわけ、一本釣りのカツオのたたきは、言わずと知れた高知の郷土料理。

カツオは、なぜたたきが主流かというと、表面の皮が硬いので、表面を炙ることで食べやすくなり、生臭さもなくなるからです。

獲れたてのカツオのたたきは、まあ、近所のスーパーで売っているものとは比べ物にならないほど美味しい。

本場、高知のお店では、わら焼きで、塩で食べる。

なぜ、わら焼き?

わらは、一気に火が燃えあがるので、表面だけを焼き上げるのに最適な手法、高知ではたたきはわらで焼くのが伝統。

表面の香ばしさが、カツオのうま味を引き立てる。

辛口の日本酒との相性も抜群。

一本釣りの本枯鰹節、荒節との違い

鰹節には、「荒節」「枯節」「本枯節」の3つの製法があります。

「荒節」は、カビ付けをしていないもの

「枯節」は、カビ付けと乾燥を2回行ったもの

「本枯節」は、カビ付けと乾燥をさらに繰り返し数カ月熟成させたもの

カビ付、乾燥を繰り返し、熟成させることで、上質の「鰹節」になります。

なぜ「カビ」を付け、乾燥を繰り返し、熟成という工程で、鰹節の「うま味」成分が増加。

カビには、優良カビ(麹カビなど)と毒性を持つ悪いカビがり、鰹節には麹カビをつかいます。

(ちなみに麹カビは、日本酒や醤油にも使われる)

一般的にスーパーで販売されている鰹節は、通常巻き網漁で大量に獲ったカツオを使いますが、「本枯節」では、主に上質の一本釣りのカツを使います。

そのような上質な鰹節は、「本枯鰹節」として販売されていますが‥スーパーには置いていません。(百貨店や工場直販など)

※商品パッケージに、「かつおのふし」を書かれたものは荒節。

「本枯鰹節」は、生臭さ、酸っぱさがなく、出汁だけでなく、そのままご飯にかけても最高にうまい!

カツオ漁の漁師の技「一本釣り」によって、刺身、タタキだけでなく、鰹節の品質まで異なるということですね。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました

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